子宝を授かりたいと思った時、一番大切なのはパートナーとのセックスですよね。

少し前の調査になりますが、デユレツクス社が行った調査(2005年)によると、日本人のセックス頻度は世界でも群を抜いて少ない&満足度も低いそうです。平均が1年間に45回ということは、おおよそ週に1回という計算になります。

セックスの回数

相模ゴムエ業株式会社が行った調査(ニッポンのセックス2013)では、20代で週に1回、40代になると2週間に1回でした。

冒頭で不妊の基準(「通常の性生活を行っているにもかかわらず、2年たっても妊娠しない」)を紹介しましたが、ここで言っている「通常の性生活」とは、いったいどのくらいの頻度なのでしょう?

 

結婚している、交際相手がいる、セックスする相手がいる人に対して、「そのお相手とは1ヶ月にどの程度セックスをしていますか?」

結婚している、交際相手がいる、セックスする相手がいる人に対して、「そのお相手とは1ヶ月にどの程度セックスをしていますか?」

参考:ニッポンのセックス

この定義がWHOのものですから、「世界平均」から考えると、週に2~3回ということになります。

精子の寿命が射精後3~5日ですから、週に2~3回セックスしていれば、いつパートナーの排卵があったとしても、精子と出会えるということになります。2年間これを積み重ねていけば、約24回の受精チャンスがあります。

 

体外受精・顕微受精成功率 %と年代別ワンチャンス妊娠率

参考:子づくりサポート・LOVE LOVEから妊娠まで

 

卵子と精子が出会ったとしても、妊娠に至る確率は25%。たった25%と思うかもしれませんが、これを積み重ねると1年の間に妊娠できる確率は約95%。2年ではほぼ100%になります。

日本の平均の週1回というペースでは、確率で考えると、半分くらいは排卵のチャンスを逃してしまうことになります。

参考:東洋経済オンライン

 

セックスレスの既婚者、過去最高の47.2%に:2016年男女の生活・意識調査参考:nippon.com

 

セックスヘの意欲が薄れる生活習慣

ですから、「日本人の平均的な性生活」で妊娠に至るには、時間(回数)がかかると言わざるを得ません。

どうして日本ではセックス回数がこんなに少ないのでしょうか。

1つは、性生活に対するネガティブなイメージがあるということもあるかもしれませんが、生活環境(仕事環境。住環境)も大きな影響を与えているようです。

例えば、(社)日本家族計画協会が男女の生活と意識に関する調査(2008年版)で、セックスレスと就労時間の関係を調べたところ、「セックスレスの男性は63%が週49時間以上働いており、セックスレスでない男性の49%と有意な差があった」ということでした(ちなみに、週60時間以上の労働は過労死ラインと呼ばれています)。

 

また、相模ゴムエ業株式会社が行った調査(ニッポンのセックス2013)では、「セックスをしたくないと思う理由」として、「面倒くさい」「疲れている」「性欲がない」が挙がっています。

セックスが面倒になってきた。

 

労働時間による影響や、セックスを避けてしはう理由の多くが「疲れ」であるということは、セックスヘの意欲が薄れてしまう「生活習慣」に原因がありそうです。日本人の性生活は、「生活習慣病」にかかってしまっていると言えるのかもしれません。

 

やる気だけの問題じゃない?オトコの妊活事情

社会的な環境(長時間労働やストレスなど)によってセックスの頻度が左右されるとなると、少子化や不妊は個人のやる気の問題ではなく、社会の間題と言えるのかもしれません。

とはいえ、社会が解決してくれるのを待っている訳にはいきません。1カ月、半年、1年と時間が経ち、女性が年齢を重ねれば、子宝に恵まれる確率も下がっていってしまうからです。

 

妊活といえばタイミング法です

 

パートナーとの子宝を望むなら、少しでもいいので、「今の自分にできること」を考え、実行してみましよう。

 

パートナーとのセックスが週2~3回ペースであれば必要ないのですが、どうしても体力的に難しいという時、自分たちで簡単にできる妊活といえばタイミング法です。

ベストなタイミングについては、男性がパートナーの体の状態まで把握するのは難しいでしょう。となると、どのようにしてタイミングを合わせるのか、しっかり話し合っておくことが大切です。

 

女性は、「今週はベストタイミングのはず……」と思いながらパートナーに声を掛けるのをためらってしまう人や、「この日は早く帰宅して」と積極的に伝える人もいるようです。

 

男性は、女性の体のタイミングに合わせてセックスすることに抵抗を感じない人も増えてきているようですが、赤ちゃんを迎えるためにするセックスが「義務」や「仕事」のように感じて積極的になれないという話も聞きます。

 

どちらも行きすぎると、「妊娠のためのセックスしかしない」「妻だけED 」といった妊活のためのセックスレスになりかねません。

このような行き違いにならないためにも、タイミングを合わせる方法をきちんと話し合っておくこと+普段からのスキンシップを大切にしましょう。

 

タイミングを合わせてセックスをすれば妊娠できる。

 

その上で、男性の妊娠させる能力を調べる検査として「精液検査」があります。

男性は「射精ができれば精子は出ている」と考えがちですが、精液の中の精子の数と質は別の問題なのです。

不妊となる原因の約半分は男性にもあるのですが、「婦人科」という女性専門の診療科がある女性と違い、男性は「何科を受診したらよいのかわからない」という人も多いようです。

 

精液検査は、不妊治療を行っている産婦人科で受け付けていますが、男性は産婦人科に行くことに大きな抵抗を感じると思います。

精液検査だけであれば本人が病院に行かなくてもよい方法(自宅で採取してパートナーが持参)もあるので確認してみると良いでしょう。

この他に精液検査をしてくれるのが泌尿器になります。その中でも、日本生殖医学会が認定する生殖医療専門医(ホームページに一覧が掲載されています)であれば、よリスムーズに検査を受けられるでしょう。

 

一般社団法人日本生殖医学会

 

ただ、毎回新しく作られ続けている男性の精子は、生活習慣やストレスの影響をとても受けやすいものです。

「検査を受ける」ということだけでもプレッシャーを感じて精子の質が悪くなることもあるそうです。ですから、検査を受ける場合は、1回の検査結果だけを見て落ち込む必要はないということを知った上で検査に臨みましょう。

 

知っておきたい妊活のコツ(男性編)

さて、男性が取り組むことができる妊活として、タイミングに加えて2つの妊娠させる力がポイントになります。

 

1つ目は精子の質、2つ目は射精できるかどうかです。

まず、精子の質については、精液検査で評価される精液の中の精子の数、運動能力、遺伝子異常の割合などがあります。

精子の数や運動能力が妊娠させる力に直結するというのはイメージしやすいと思いますが、遺伝子異常というのは、「受精した後、成長できるかどうか」に関係してきます。

 

精子の数や運動能力

精子を作る材料になる栄養素をしっかリ摂ることに加えて、精子を作る能力が大切になってきます。また遺伝子異常の割合を上げないためには、遺伝子に傷をつけてしまう酸化ダメージから身を守る抗‐ 酸化を意識してみましょう。

遺伝子異常を増やさないためのライフスタイルは、「将来は赤ちゃんが欲しい」という段階で、できるだけ体が若いうちにスタートしておくのがおすすめです。

 

妊活の場合、それに加えて「精子の鮮度」についても意識してみましよう。男性の精子は、日々新しく作られているということは上記で説明しました。

作られたけれど使われず、鮮度が落ちてしまった精子は、3~5曰くらいで溶け、消えてしまう仕組みになっています。人工授精などの不妊治療では、精子の濃度を高めるために禁欲することもあります。

もちろん、禁欲すれば精液中の濃度は上がります。でもそれは、鮮度の下がった精子が増えることでもあり、運動能力や遺伝子異常の割合を考えると、自然妊娠を目指す場合は禁欲をしない方が良いということがわかってきています。

 

また、排卵日前のセックスの回数を増やすことで、出てきた卵子を待ちかまえている「新鮮な精子の数」を増やす方が妊娠につながりやすいようです。

 

男性の性機能について

男性の性機能というと、「ペニスの大きさ」や「いかに女性を気持ちよくさせるか」などと思われがちですが、実はどちらも妊娠させる能力とは関係ありません。

国別のペニスの大きさ。

妊娠のために必要なのは、「女性の腟内で射精できるか」ということだけです。

あたり前のことと思われるかもしれませんが、疲労やストレスなどから性欲がわかなくなったり、セックスしても射精に行きつけないED気味の人が増えているのです。

まずは疲労ケアやストレスケアなど、基本の管理をしっかりしておくことが大切です。

 

パートナーである女性が真剣に妊活を始めると、強すぎるプレッシャーでEDの原因になってしまうこともあります。

「この日」と指定されたセックスにプレッシャーを感じるようなら、タイミングをはかるのではなく、日常的にセックスしておく方がプレッシャーは少ないかもしれません。

さらに、日常的なセックスは、夫婦のコミュニケーションという意味でも精子の鮮度という意味でもメリットがあります。

 

男の子宝習慣

女性ほど急激にではありませんが、男性も年をとるにしたがつてゆっくり妊娠させる能力が下がっていきます。

その原因は、男性ホルモンの減少(精子の質・量の低下、性欲減退)や、酸化による遺伝子の損傷(精子の質低下)など、誰にでも起こるものです。でも、60代や70代で父親になったというニュースを聞くこともありますよね。

 

それだけ個人差も大きいということです。妊娠させる能力は、普段の生活習慣によっても左右されています。次の項目の中で、あてはまるものがあったら要注意です。

 

  1. 長風呂・サウナ好き、膝上でノートパソコンを使用、下着はプリーフ派、タイトなズボンが好き←精巣温度上
    男性の精子は熱に弱い性質を持っています。そのため、精巣(睾丸)はわざわざ体から飛び出し、冷えやすい形になっているのです。ですから、質の良い精子を作るためには、日常生活の中で睾丸を温める習慣をできるだけ減らしてみましよう。
  2. 長時間の自転車、長時間の座り仕事、タバコ←血流悪化
    質の良い精子を作るには、栄養も必要です。食事などで摂った栄養素は、血液を通して届けられているので、圧迫されて血流が悪くなると精子にとっても良くありません。自転車は、1日1時間以上乗っているなら要注意です。自転車も座り仕事も、体を前に倒した状態では、股間の圧迫がきつくなります。時々休憩して体を伸ばしてみたり、立ち漕ぎしてみるなど、意識的に股間を解放してあげると良いかもしれません。
  3. 食事バランスの乱れ、飲酒習慣あり、運動習慣なし←生活習慣病リスク高
    食事バランスの乱れによる栄養の過不足を始めとして、良くない生活習慣が続くことは精子の質にも影響することがわかっています。肥満気味であったり、健康診断で注意を受けるような体調&生活習慣であれば、できることから改善をしてみましよう。
  4. 一慢性的なストレス・疲労感・睡眠不足←精神的ストレス
    精子の質や量が、精神的なストレスに影響を受けることがわかつています。とはいえ、簡単に仕事を変えたりすることはできませんよね。自分でできるストレス対策については3章でも紹介しましたが、その他に、昼寝を活用した睡眠時間の確保、ポジテイブシンキングの癖付けなどもおすすめです。
    また、単純に「涙を流して泣く」「声を出して笑う」といった感情表現もストレスを和らげる効果があるので、パートナーと一緒に映画や演劇を見に行くのも良いかもしれません。
  5. 日常的にハードな運動・肉体労働、タバコ、屋外での仕事←酸化ストレス
    酸化によって遺伝子が傷つくということは、酸化ストレスが増えれば精子にも遺伝子異常が増えるということです。こういった精子の割合が増えれば、妊娠しにくくなったり、せっかく妊娠できても育たないということが起きてきます。普段から抗酸化力の高い栄養素をしっかり摂って、体と精子を酸化ダメージから守りましょう。
  6. 育毛剤を使用している←男性ホルモン低下
    ホルモンバランスを改善するというと、「男性ホルモンを増やす」ということばかりに意識がいってしまいがちですが、実は男性が日常的に使っているものの中で、男性ホルモンを抑えてしまう性質のものもあるのです。それは育毛剤。
    男性型脱毛症は男性ホルモンの影響で起こるため、その治療に使われる薬は、男性ホルモンを抑えてしまう働きを持ったものもあります。フィナステリドを主成分とした育毛剤では、性欲減退や精子の数の減少といった副作用の報告があるので、妊活中は使用しないようにしましよう。

 

まとめ

あてはまるものが多いようなら、精子にとっては育ちにくい環境です。さらに、この中には男性の性機能を左右するものも含まれています。例えば、血流、生活習慣病、ストレス、疲労・睡眠不足、男性ホルモン低下などです。

精子の質、性機能の両方に共通する男性の子宝習慣のポイントは、「心身ともに健康であるというあたり前のこと十精子に合った環境づくり」ということになります。

男性の性機能について詳しく知りたい人は、『男を維持する「精子力」』(岡田弘著・ブックマン社発行)がおすすめです。泌尿器科の先生が男性の性の仕組みから不妊治療までわかりやすく紹介してくれています。